B型肝炎
B型肝炎とは?(なぜ肝臓に炎症が起きるのか)
どのようにして感染するの?(昔と今の違い)
・昔の主な原因(母子感染): 以前は、感染経路の約80%が、ウイルスを持つ母親から出産時に赤ちゃんにうつる「母子感染」でした。しかし、1986年から国がワクチン等を用いた母子感染予防事業を開始したため、現在ではこの経路での新たな感染はほとんどなくなっています。
・今の主な原因(水平感染): 現在、新たに感染する経路としては、性行為、不衛生な注射針の使い回し、入れ墨(タトゥー)などが問題となっています。
症状と経過(急性肝炎と慢性肝炎)
1. 急性肝炎(大人になってから感染した場合)
・症状: 30日〜180日という長い潜伏期間のあと、全身のだるさ、発熱、食欲不振、吐き気といった「風邪や胃腸炎に似た症状」から始まります。その後、遅れて皮膚や白目が黄色くなる「黄疸(おうだん)」が現れます。
・経過: 症状が出た後、多くは自身の免疫力によってウイルスが体から排除され、自然に治癒(一過性感染)します。ただし、ごく一部で劇症化(急激に肝臓の機能が失われる)することがあるため注意が必要です。
2. キャリアと慢性肝炎(幼少期に感染した場合)
・沈黙の進行: 感染者の約10%が、6ヶ月以上肝臓の炎症が続く「慢性肝炎」を発症します。慢性肝炎は自覚症状がないことも多いですが、放置すると長い年月をかけて「肝硬変」へ移行し(慢性肝炎の約20〜30%)、さらに「肝臓がん」を発症する危険性があります。
B型肝炎の治療法
1.インターフェロン(IFN)療法(注射薬)
自身の免疫力を高めるとともに、ウイルスの増殖を抑える薬です。一定期間(1年程度)治療を行い、薬をやめた後もウイルスを抑え込む状態(治癒に近い状態)を目指します。主に35歳以下の比較的若年の患者(長期の内服加療を回避するため)、ALT値が高値(宿主の免疫応答が活発であり、治療効果が得られやすい)、HBV DNA量が比較的低値、肝硬変に至っていない慢性肝炎(非代償性肝硬変は禁忌、代償性肝硬変は非推奨・慎重投与)、ジェノタイプAまたはB(日本で主流のジェノタイプCは奏効率がやや劣る)などが良い適応とされています。
2.核酸アナログ製剤(飲み薬)
ウイルスの増殖を直接強力に抑え込む薬(エンテカビルなど)です。35歳以上の方や、インターフェロンの効果が低い方に第一選択として推奨されます。ウイルスを完全に排除するわけではないため、長期間飲み続ける必要がありますが、現在では耐性(薬が効かなくなること)ができにくい非常に優れた薬が使われています。
・肝炎の急激な再燃(リバウンド): 薬によって抑え込まれていたウイルスが、中止をきっかけに再び急激に増殖を始め、肝臓の炎症が以前よりも激しくぶり返すことがあります。
・重症化(劇症肝炎)の危険性: 炎症が急激に進むことで、肝臓の機能が著しく失われる「劇症肝炎」などに移行し、最悪の場合は命に関わる事態になる恐れがあります。

